[ パンデミック・アイ : 桂 修司]
受刑者の自殺が相次ぐ北海道・北見刑務所。
弁護士の伊崎は、遺族の依頼を受け、刑務官・蓮池と共に自殺の起きた四番保護房を訪れる。
伊崎は、調査のため、同じように四番保護房に一人で入ることを蓮池に希望する・・・
そこで、伊崎は、サーベルを持った男に襲われる幻覚を体験し、右目の視界に不思議な影が浮かび上がるようになってしまう。
同じように、伊崎より前に、この四番保護房の様子を調べていた刑務官・蓮池も、数日前より同様の症状が出ていた・・・
はたして、右の視界に現れる不思議な影は何なのか・・・?そして、何が原因で誰に対するものなのか・・・?
一般的なホラーものでは、呪われる対象と、呪いを発生させたきっかけには関連があり、それを解消することで解呪へと至る話が多い。
しかし、ながら、この物語では、その呪いの受けた対象は、呪いが発生するきっかけとはまったく関係がない。
そのため、呪われたことに気づくのも遅く、呪いの結果どうなるのか、この呪いの効果は何なのか?そしてどうやったら解消するのかといった手がかりが少なく、その呪いの悪意は無差別なだけに救いようが無い。
この呪いは何なんだ?誰が何を呪ったのか?なぜ俺なのか?呪い主は何が目的なんだ?
手がかりの無い中、そして死ぬまでの期限もよくわからない手探りの解呪への道。そのやり切れなさと先の見えなさがより恐怖感や緊張感がある物語になっていると思う。