[ 銀河おさわがせ中隊(原題:Phule's Company) : ロバート・アスプリン(Robert Asprin) ]
アメリカのSF・ファンタジー作家 ロバート・アスプリン氏の二大シリーズの一つである銀河シリーズの記念すべき一作目。
主人公ウィラード・フールは、宇宙一の武器製造会社フール・プルーフ社の御曹司であり、宇宙軍の中尉。しかしながら、フール中尉は、軍にいながら、その豊富な資金力でリッチな軍生活を送る、ビーカーという執事を従え勤務するなど、宇宙軍の上層部からは疎まれる存在であった。
ある日、フールは、平和調停印式に手違いで機関銃掃射という命令するという大失態を犯してしまう。
当然、宇宙軍の上層部であるブリッツリーク大将は、フールに処罰を試みるが、フールの実家は宇宙軍の武器全般をも配給する大企業。
そこで、フールを疎ましく思った上層部は、宇宙軍の掃き溜めと化しているオメガ中隊の中隊長に任命し、フールが嫌気をさして除隊を志願してくるように仕向けようとすることから物語は始まる。
ネタバレしない程度に主な登場人物の紹介
- ウィラード・フール:宇宙軍での名前はジェスター。富豪の御曹司。
- ビーカー:フールの執事
- アームストロング:中隊中尉。規律に忠実・・・すぎ!?
- レンブラント:中隊中尉。中隊は部下にまかせ自分は美術にかかりきり!?
- ブランデー:中隊曹長。アネさん気質。全オメガ中隊員から一目おかれる存在。
- チョコレート・ハリー:中隊補給担当軍曹。裏では悪い取引ルートで儲けてる!?
- エスクリマ:中隊調理担当軍曹。エスクリマの配給料理は評判が悪いが・・・
- スーパー・ナット:女性中隊員。超喧嘩っ早い。小柄なためまともに相手にされない。
- ドゥーワップ:中隊員。ケチなコソドロで、どんな鍵でも彼にかかればお手の物とか。
- スシ:中隊員。東洋系人種で裏ビジネス関連に明るいようす。
- ローズ:中隊通信兵。極度の対面恐怖症で、その声を聞いたものはいない。
- タスク・アニニ:イボイノシシ型人種の中隊員。片言ながら、翻訳機を使わず対話可能。
- ルーイ:ナメクジ?型の中隊員。国では、上流階級で、肉体労働は進んでしない。
- スパルタクス:ルーイと同郷の中隊員。労働階級だったため、ルーイと仲が悪い。
- ブリッツリーク:宇宙軍大将。フールを敵視し、事あるごとに妨害を試みる。
- バトルアックス:女性ながら戦斧の名を持つ宇宙軍大佐。フールを影ながら心配する。
簡単に言うと、この物語の面白さは、
- とにかくどたばた劇
- フールの行動のカッコよさ
- 個性的な登場人物達
- 随所にある言葉遊び
まず、物語はとにかくどたばたとイベントもりだくさんで飽きません。あっちで事件が起こったと思ったらこっちでも・・・ってな感じです。
そして、主人公フールの紳士的且つ大胆な行動がとにかくカッコイイ。
フールは、お金にモノをいわせて行動することを、まったく悪く思っていませんし、読んでいてもまったく嫌らしく感じない使い方なところが素敵です。
フール曰く、「人が与えられた能力(個人の肉体や知識、生まれた環境)を最大限に使うのは、何も悪いことじゃない。お前だって、すばらしい肉体や知識を思う存分振るうことをためらわないだろう?僕は、たまたまお金があるから使っているだけだよ」だとか。
また、オメガ中隊員一人一人の個性は本当に強く、シリーズの続編でも一人一人がすばらしい役者として物語を飛び回ります。
執事のビーカーなんて、時には主人公かと思うくらい出番は多いですし。
また、物語全般を通して、フール・プルーフ(馬鹿でも扱える)製の武器とか、フール中尉=ピエロといった、各所に使われる言葉遊びがとても好きです。
小さい頃から、このシリーズも何度も読み直し、今でも新刊が出るとついつい買ってしまいます。
また最初から読み直そうかな・・・